「外壁って、何日くらいで終わるんですか」
現場でよく聞かれます。家が建っていく過程で、外壁が張られると一気に「家らしく」なるので、気になる方が多いんだと思います。
施工歴16年の外壁職人として、実際の工程を順番に、日数つきで書きます。あわせて、施主さんが現場を見に行くならいつがいいかも書きます。
なお、ここで書くのは窯業系サイディングを金具工法で張る場合です。素材や工法が違えば日数も変わります。
全体の日数:12日前後
まず結論から。30〜40坪くらいの一般的な家で、外壁工事そのものは12日前後です。
| 工程 | 日数 |
|---|---|
| 紙張り(透湿防水シート) | 1日 |
| 胴縁 | 1日 |
| 軒天 → 壁 → 破風 → 補修 | 8日前後 |
| コーキング | 2日 |
足場の設置と解体は別工程になります。また、雨が降れば止まります。外壁は屋外の作業なので、天候によって前後すると思っておいてください。
順番に見ていきます。
① 紙張り(透湿防水シート):1日
現場では「紙を張る」と言います。透湿防水シートのことです。
建物の構造体の外側に、このシートを張っていきます。役割は名前のとおりで——
- 防水:万一外壁の内側に水が入っても、構造体まで届かせない
- 透湿:壁の中の湿気は外に逃がす
ここは誤解されやすいところなのですが、このシートが一次防水です。
「外壁材が防水しているのでは」と思うかもしれません。でも順番は逆で、外壁材の裏に水が回ることは、はじめから想定されています。回ってきた水を止めて、構造体を守っているのがこのシートです。
ここは施主さんにぜひ知っておいてほしいところです。外壁を張っても、水は入ります。
これは施工が悪いわけではありません。はじめからそういうつくりなんです。だから、入った水が抜けるように通気層をつくり、構造体まで届かないようにシートを張る。外壁は一枚で守っているのではなく、何層かで守る仕組みになっています。
表からは絶対に見えなくなる部分ですが、家を長持ちさせるうえでは一番重要な層だと思っています。
作業自体は1日で終わります。
② 胴縁:1日
シートの上に、胴縁という木材を取り付けます。この胴縁に外壁材を留めていきます。
胴縁を入れることで、外壁材と防水シートの間に隙間ができます。これが通気層です。壁の中の湿気が、この隙間を通って上に抜けていきます。
なお、前の記事でも書きましたが、いまは通気金具工法——胴縁を使わず、金具だけで通気をとる工法も主流です。その場合はこの工程が変わります。
③ 軒天 → 壁 → 破風 → 補修:8日前後
ここが工事の本体です。8日前後かかります。
なぜ軒天からなのか
軒天(のきてん)は、屋根が外壁から張り出している部分の裏側、見上げると見える面です。
外壁工事は、ここから始まります。
理由ははっきりしていて、先に軒天を張らないと、そのあとの絡みが進まなくなるからです。壁は軒天に突き当たる形で納まるので、軒天が決まっていないと壁の納まりが決められません。
順番を間違えると、あとから直すのが大変になる。だから軒天が最初です。
壁を張る
軒天が終わったら、いよいよ外壁本体です。ここが一番時間がかかります。
金具工法なら、金具を取り付けて、板を引っ掛けながら張っていきます。出隅・入隅のコーナー部材、サッシまわりの部材も、この流れで納めていきます。
破風
破風(はふ)は、屋根の妻側(三角に見える側)の端に付いている板です。ここも外壁工事の範囲に入ります。
補修
工程表には「補修」としか書かれませんが、ここで何をしているか、施主さんにはぜひ知っておいてほしいので詳しく書きます。
やっているのは主に2つです。
1. 釘頭の補修
「金具工法なら釘の頭は出ないんじゃないの?」と思うかもしれません。基本はそのとおりです。ただ、金具工法でも釘打ちにせざるを得ない場所があります。
- 張りじまい(張り終わりの端の部分)
- サッシの上下
- 下屋(げや。1階部分などの低い屋根が取り付く箇所)
- ベランダの中の張り出し部分
こういう場所は、構造上どうしても金具で留められません。そこは釘を打って留めることになります。
その釘の頭を、補修塗料で色を合わせて隠していくのが、この工程です。
2. 切り口のバリを塗る
外壁材は現場で寸法に合わせて切ります。切った断面にはバリ(切り口のささくれ)が出て、切断面は塗装されていない状態です。
このバリの処理と、切り口への塗装もここでやります。
補修は地味な作業ですが、仕上がりの印象を決める工程です。ここを丁寧にやるかどうかで、近くで見たときの見え方が変わります。
④ コーキング:2日
最後にコーキング(シーリング)です。2日かかります。
サッシまわり、部材の取り合いなど、必要な箇所に打っていきます。金具工法の窯業系サイディングなら、板と板の継ぎ目にはコーキングが要らないので、打つ場所は限られます。
ここまで終われば、外壁工事は完了です。
施主が見に行くなら「張り出して3〜4日」
一番聞きたいのはここだと思います。
壁を張り始めてから3〜4日頃が、見に行くのに一番いいタイミングです。
この頃にはかなりの面積が張り終わっています。だから——
- 工事の進み具合が分かる
- 外壁の色や質感が、実物として実感できる
サンプルで見た色と、家一軒に張られた色は、印象がまったく違います。この段階で見ておくと、「思っていたのと違う」を早めに気づけます。
逆に、張り始めてすぐだと面積が少なすぎて判断できませんし、全部終わってからだと「見た」というより「完成品を確認した」という感じになります。
進んでいる途中を見るのが、一番おもしろい時期でもあります。
気楽に行って大丈夫です
「行っていいか聞かないと」と身構える必要はありません。自分の家なので、好きなときに見に行っていいと思います。
ただ、タイミングを合わせたいなら、「外壁はいつ頃入りますか」と現場監督に聞いておくといいかもしれません。工程が分かっていれば、張り出して3〜4日という一番いい時期を狙えます。
足場に登るのだけはやめてください。それ以外は、遠慮しなくて大丈夫です。
まとめ
| 工程 | 日数 | 何をしているか |
|---|---|---|
| 紙張り | 1日 | 一次防水のシートを張る |
| 胴縁 | 1日 | 外壁を留める下地。通気層をつくる |
| 軒天 | 8日前後 | 先に張らないと壁の納まりが決まらない |
| 壁 | 外壁本体を張る | |
| 破風 | 屋根の妻側の端の板 | |
| 補修 | 釘頭の色合わせ、切り口のバリ処理 | |
| コーキング | 2日 | サッシまわりなどに打つ |
合計12日前後。ただし雨が降れば止まります。
外壁は、張り上がってしまえば中身が見えなくなる部分の集まりです。紙も、胴縁も、補修も、完成したら分かりません。
だからこそ、途中を一度見ておく価値があると思います。張り出して3〜4日。そのあたりで、ぜひ現場に足を運んでみてください。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。