外壁の話で「割り付け(わりつけ)」という言葉が出てきます。
外壁材をどう並べるか、板の継ぎ目をどこに持ってくるかを決めることです。
地味な言葉ですが、外壁工事で最初にやる頭の使いどころでもあります。そして、その良し悪しは建てた直後より、10年後に効いてきます。
施工歴16年の外壁職人として、割り付けで何を考えているかを書きます。
割り付けとは何か
外壁材には決まった長さがあります。それを家の形に合わせて、どう並べるか。
- どこから張り始めるか
- 板の継ぎ目(ジョイント)をどこに置くか
- 端をどう納めるか
- 切った余りをどこで使うか
これを、張る前に決めておく作業が割り付けです。
誰が決めているのか
ここは会社によって違います。
私の会社の場合、注文住宅では会社の方で先に割り付けを考えます。
理由がひとつあります。ジョイントの位置には、下地が必要だからです。
板と板の継ぎ目は、そこに下地がないと留められません。柱の位置に合えば柱が下地になりますが、合わない場所は大工さんに下地を入れておいてもらう必要があります。
そのためには、割り付けを先に決めておかないといけません。
外壁を張る段になってから「ここに下地がない」では遅いんです。
つまり割り付けは、外壁を張るずっと前に済ませておく仕事ということになります。
何を基準に決めているか
基本は「九尺」
割り付けは、基本的に九尺(きゅうしゃく)を単位に追っていきます。約2,730mmです。
尺(しゃく)は現場で今も使われている単位で、1尺が約303mm。三尺が約910mmで、これは日本の住宅の基本寸法です。
ジョイントが柱に来るようにする
割り付けを追っていくときは、平面図で柱の位置を確認します。
そして、ジョイントが柱に来るように決めていきます。
理由はシンプルで、柱があれば、そこがそのまま下地になるからです。継ぎ目を柱の位置に合わせられれば、大工さんに追加で下地を入れてもらう必要がありません。
逆に、柱から外れた場所にジョイントを置くと、そのために下地を入れてもらうことになります。大工さんの手間が増える。
自分たちの都合だけで割り付けると、前の工程に余計な仕事をつくることになります。そこは気を使っているところです。
ロスが出ないように組み合わせる
ここが割り付けで一番頭を使う部分かもしれません。
材料のロスを出さないように考えます。
たとえば九尺の板を切って使うとき——
- 六尺を使うところがあれば、残りの三尺をどこかで使えるように割り付ける
- 七尺五寸を使うところがあれば、残りの一尺五寸をどこかに入れられるよう考える
九尺は、六尺+三尺。七尺五寸+一尺五寸。足すと九尺になる組み合わせを、家じゅうで探していくわけです。
うまく組めば、切った端材が全部使えます。組めなければ、その分が捨てられます。
これは材料費の話でもありますが、単純に、もったいないというのが正直なところです。
割り付けが悪いと、何が起きるか
ジョイントを窓の上に持ってこない
これは以前の記事でも書きました。
窓の上は、もともと雨が溜まりやすい場所です。そこに板の継ぎ目を持ってくると、弱い場所が重なることになります。だから、ずらします。
これは見た目ではなく、雨漏りのリスクに関わる判断です。
それ以外は、見た目の問題
正直に言うと、それ以外で割り付けが直接ダメージになることは、あまりありません。残りは見た目の話です。
ただ、この「見た目」が、あとから効いてきます。
施主が気づくのは、10年後かもしれません
建てたばかりのときは、割り付けの良し悪しは分かりづらいと思います。
新築の外壁は全体がきれいなので、継ぎ目もそれほど目立ちません。
問題は時間が経ってからです。
コーキングが汚れて、継ぎ目が浮き出てくる
ジョイント部分にはコーキングが入ります。そしてコーキングは、時間が経つと汚れがつきます。
外壁面とコーキングでは汚れ方が違うので、継ぎ目の線が、だんだん浮き出て見えてくるんです。
つまり——割り付けで決めた継ぎ目の位置が、10年後に「線」として見えてくる。
その線が整っていれば気になりませんが、中途半端な位置にあれば目につきます。
特に白い外壁は目立ちます
白系の外壁は、これがはっきり出ます。
汚れたコーキングと白い壁ではコントラストが強いので、継ぎ目の線がくっきり見えてしまう。
白を選ぶ方は、割り付けが効いてくる色を選んでいるということでもあります。
まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 割り付けとは | 外壁材の並べ方・継ぎ目の位置を決めること |
| いつ決めるか | 張る前。大工さんに下地を入れてもらう必要がある |
| 基準 | 九尺で追う。ジョイントが柱に来るように平面図で確認 |
| ロス対策 | 六尺なら三尺、七尺五寸なら一尺五寸。足して九尺になる組み合わせを探す |
| 悪いと | 窓の上に継ぎ目が来ると雨のリスク。あとは見た目 |
| 施主が気づくのは | 10年後。コーキングが汚れて継ぎ目が線として浮き出る |
割り付けは、外壁を張る前に終わっている仕事です。完成すれば、誰も「ここをどう割ったか」なんて考えません。
でも、その判断は壁の上に残り続けます。10年経って、コーキングが汚れてきたときに、線として見えてくる。
見えないところで決まっていることが、あとから見えてくる。外壁には、そういうものが多いです。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。