家の形で、外壁はどう変わるか【凹凸より、屋根を気にしてください】

5. 職人コラム

「凹凸のある外観にしたい」「シンプルな箱型がいい」

家の形を考えるとき、外観のデザインとして悩むと思います。

では、その形が外壁工事にどう影響するのか。施工歴16年の外壁職人として、張る側から見た話を書きます。

先に結論を言っておくと——壁の凹凸より、屋根の形の方が大事です。


凹凸が増えると、手間と日数が増えます

まず、素直な話から。

複雑な形の家は、手間がかかります。そのぶん日数もかかります。

これは避けられません。何が増えるのかを書きます。

① 出隅の本数が増える

出隅(ですみ)は、壁と壁が外側に向かって合わさる角です。ここには専用のコーナー部材が入ります。

凹凸が増えるほど、この出隅の本数が増えます。

② 入角のコーキングが増える

入角(いりずみ)は、内側に向かって合わさる角です。

ここにはコーキングが入ります。だから、入角が増えればコーキングの箇所も増える。

コーキングは将来の打ち替え対象なので、メンテナンスの箇所が増えるということでもあります。

③ 加工が増える

張る場所が増えると、それだけ加工も多くなります。

角のたびに寸法を取って、切って、納める。まっすぐな面をそのまま張るのとは、作業量が違います。

そして加工が多い=時間がかかるということです。


でも、雨漏りのリスクは「壁の形」ではありません

ここが一番書いておきたいところです。

「複雑な形=雨漏りしやすい」と思われがちですが、私の感覚は少し違います。

建物がただ折れているだけなら、問題ありません

平面的に凹凸があるだけ——つまり建物の形が折れているだけなら、雨漏りの心配はそれほどしません。

出隅も入角も、納め方は決まっています。手間はかかりますが、きちんとやれば問題が出る場所ではないんです。

心配なのは、屋根が複雑な家です

壁の凹凸よりも、屋根が複雑な家の方が雨漏りの心配をします。

理由は、これまでの記事で書いてきたことと重なります。

屋根が複雑になると、取り合いが増えるからです。

  • 下屋と外壁の取り合い
  • 谷になる部分
  • 板金の納まり
  • 片流れの頂点

こういった箇所が増えるほど、雨仕舞いを考える場所が増えます。そして雨が入りやすいのは、いつも取り合いの部分です。

だから、見るべきは屋根の形

外観の凹凸は、正直に言えば手間と費用の問題です。

でも屋根の複雑さは、雨漏りのリスクに直結します。

設計の打ち合わせで「かっこいい形にしたい」と話すとき、壁の形より屋根の形を気にしてみてください。


きれいに仕上がるのは、シンプルな家です

正直に書きます。

シンプルな家は、きれいに仕上がります。

まっすぐな面が長く取れれば、板の通りもきれいに出ます。加工が少ないので、精度も安定する。割り付けも素直に組めます。

以前「下屋の取り合いは腕が出る」と書きましたが、逆に言えば、そういう難所が少ない家ほど、仕上がりは安定するということです。

凹凸がダメという話ではありません

誤解のないように書いておきます。

凹凸のある外観が悪いわけではありません。そういう家にしたいなら、そうすればいいと思います。

ただ、手間と費用は増えます。そしてコーキングの箇所が増えるぶん、将来のメンテナンスも増えます。

それを分かったうえで選ぶなら、何の問題もありません。


施主として、どう考えればいいか

整理するとこうなります。

気にすることどう影響するか
壁の凹凸手間・日数・費用が増える。コーキング箇所も増える
壁の凹凸ただし雨漏りのリスクは、それほど上がらない
屋根の形複雑なほど雨漏りのリスクが上がる
シンプルな形仕上がりが安定する。費用も抑えられる

デザインの好みは人それぞれなので、「シンプルにしなさい」とは言いません。

ただ、気にする順番を間違えないでほしいと思います。

  • 壁の凹凸 → お金と手間の話
  • 屋根の形 → 雨漏りの話

打ち合わせで屋根の形を見るとき、「ここは雨がどう流れますか」と聞いてみてください。そこを説明できる設計者や業者は、信頼していいと思います。


まとめ

  • 凹凸が増えると出隅・入角のコーキング・加工が増え、手間と日数がかかる
  • でも建物が折れているだけなら、雨漏りの心配はそれほどない
  • 雨漏りで心配なのは、屋根が複雑な家。取り合いが増えるから
  • シンプルな家は、きれいに仕上がる

外壁の話をしてきましたが、最後は屋根の話になりました。

家は全部つながっているので、外壁だけ見ていても分からないことがあります。とくに雨に関しては、屋根から壁への流れで考えないといけません。

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家の形は、外壁の手間にも費用にも効いてきます。設計の段階で複数の会社に相談しておくと、比べられます。


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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。

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