このブログでは外壁のことばかり書いてきましたが、書いている人間がどんな仕事をしているかは、あまり書いていませんでした。
今日は技術の話ではなく、外壁職人の一日について書きます。
きれいにまとめるつもりはないので、正直なところをそのまま書きます。
一日の流れ
現場の場所によりますが、だいたいこんな感じです。
- 朝7時半頃 現場に到着
- 夕方6時頃 片付け開始
- 6時半頃 現場を出る
朝が早いのは、この業界では普通です。逆に、暗くなると作業ができないので、終わりも季節に左右されます。
現場にいる時間で言えば、11時間くらいです。
休憩
休憩の時間は決まっています。
- 10時に30分
- お昼休憩
- 15時に30分
ただ、正直に書くと——一人ではなく何人かで休んでいると、1時間くらい休んでしまっていることもあります。
話し込んでしまうんですね。ここも格好つけずに書いておきます。
何人でやるか
今は社員なので、2人で行くことが多いです。
そして、2人のときは役割が分かれます。
- 切り手(きりて)
- 張り手(はりて)
私は切り手をやっています。板を寸法に合わせて切る係です。もう一人が張り手で、切った板を実際に壁に納めていきます。
この分担があるので、切る人の精度がそのまま仕上がりに出ます。以前書いた「下屋の勾配に合わせて斜めに切る」という話も、切り手の仕事です。
自営業のときは、一人でした
独立してやっていた頃は、一人で全部やっていました。
切って、運んで、張る。全部です。今思えば、よくやっていたなと思います。
使う道具
外壁職人の道具です。これがないと仕事になりません。
- 丸鋸(まるのこ) — 板を切る
- 集塵機(しゅうじんき) — 切ったときの粉じんを吸う
- コンプレッサー — 釘打ち機を動かす空気を送る
- 釘打ち機 — 釘を打つ
- ホース — コンプレッサーと釘打ち機をつなぐ
- 板を切る定規
- スライド定規
- 腰ぶくろ — 工具を入れて腰に付ける
定規が2種類あるのは、切り方によって使い分けるからです。まっすぐ切るときと、角度をつけて切るときでは道具が変わります。
集塵機が入っているのは、外壁材を切ると粉じんが出るからです。近隣への配慮でもありますし、自分の身体のためでもあります。
正直に言うと、体はきついです
きれいごとを書いても仕方ないので、正直に書きます。
この仕事は、体には辛いです。
板が重い
外壁材は重いです。それを、狭い場所を通りながら運びます。
現場は資材や足場でごちゃごちゃしています。その中を、大きくて重い板を持って抜けていく。
そして、一枚一枚、上にあげていきます。2階、3階と、下から順に。
傷つけないように運ぶ
重いだけなら、まだいい。気を使うのは、傷をつけられないことです。
外壁材は仕上げ材です。壁に張ってしまえば、それがそのまま家の外観になります。運んでいる途中でぶつけたり擦ったりすれば、それが残ります。
以前、雨の日の記事で「黒い板は汚れが取れない」と書きましたが、傷も同じです。あとから直すのが難しい。
だから、重い板を、狭いところを、傷つけないように運ぶ。この3つが同時にかかってきます。
階段の上り下り
地味に効いてくるのがこれです。
一日を通すと、階段の上り下りはかなりの量になります。
材料を取りに行く、道具を取りに行く、上の階に運ぶ。一回一回は大したことがなくても、積み重なるとかなり疲れます。
続けている理由
かっこいいことを書こうと思えば書けます。「職人としての誇り」とか。
でも、正直に言います。
ぶっちゃけ、ズルズルここまできてしまいました。
強い志があって始めたわけでもないし、途中で「これが天職だ」と思ったわけでもない。気がついたら16年経っていた、というのが本当のところです。
こういうことを書くと格好がつきませんが、嘘を書いても仕方ないので。
それでも、気持ちがいい瞬間はあります
じゃあ嫌々やっているのかというと、そうでもありません。
綺麗に現場が仕上がると、気持ちがいい。
それに尽きます。
一枚一枚切って、運んで、張って。数日かけて仕上がったものを、足場が外れたあとに遠くから見る。線が通っていて、納まりがきれいで、雑なところがない。
そういうとき、やってよかったなと思います。
派手なことは何もありません。ただ、目の前の一枚をちゃんと切って、ちゃんと張る。その積み重ねが形になって残る。
それが16年続いている理由なのかもしれません。
ただ、これだけは思っています
ズルズル来たとは書きましたが、仕事に対しては別です。
仕事をする以上、その先にはお客さんがいます。
そして家は、人が生きていくなかで一番大きい買い物です。何千万円という金額を、何十年もかけて払っていく。その家の外壁を、私たちが張っています。
だったら、そこはきっちりやらなければいけない。
買う人のことを思って、何年も持つ、いい家に仕上げなければいけないと思っています。
自分がここまで来た経緯は、正直たいした話ではありません。でも、目の前の家は誰かの一番大きい買い物です。そこは分けて考えています。
まとめ
- 朝7時半に現場、6時半に出る
- 今は2人。切り手と張り手に分かれる
- 自営業のときは一人で全部やっていた
- 丸鋸、集塵機、コンプレッサー、釘打ち機、定規、腰ぶくろ
- 重い板を、狭いところを、傷つけないように運ぶ。体はきつい
- 続けている理由は、正直「ズルズル」
- 綺麗に仕上がると気持ちがいい
- ただし家は人の一番大きい買い物。そこはきっちりやる
このブログで書いている話は、全部この日常から出てきたものです。
防水テープを5mm上げるのも、ジョイントを柱に合わせるのも、下屋の勾配に合わせて切るのも、毎日やっていること。
やっている本人は、いちいち意識していません。でも書いてみると、ひとつひとつに理由があるんだなと、自分でも思いました。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。