外壁職人の一日【16年やっている人間の、正直な話】

5. 職人コラム

このブログでは外壁のことばかり書いてきましたが、書いている人間がどんな仕事をしているかは、あまり書いていませんでした。

今日は技術の話ではなく、外壁職人の一日について書きます。

きれいにまとめるつもりはないので、正直なところをそのまま書きます。


一日の流れ

現場の場所によりますが、だいたいこんな感じです。

  • 朝7時半頃 現場に到着
  • 夕方6時頃 片付け開始
  • 6時半頃 現場を出る

朝が早いのは、この業界では普通です。逆に、暗くなると作業ができないので、終わりも季節に左右されます。

現場にいる時間で言えば、11時間くらいです。

休憩

休憩の時間は決まっています。

  • 10時に30分
  • お昼休憩
  • 15時に30分

ただ、正直に書くと——一人ではなく何人かで休んでいると、1時間くらい休んでしまっていることもあります。

話し込んでしまうんですね。ここも格好つけずに書いておきます。


何人でやるか

今は社員なので、2人で行くことが多いです。

そして、2人のときは役割が分かれます。

  • 切り手(きりて)
  • 張り手(はりて)

私は切り手をやっています。板を寸法に合わせて切る係です。もう一人が張り手で、切った板を実際に壁に納めていきます。

この分担があるので、切る人の精度がそのまま仕上がりに出ます。以前書いた「下屋の勾配に合わせて斜めに切る」という話も、切り手の仕事です。

自営業のときは、一人でした

独立してやっていた頃は、一人で全部やっていました。

切って、運んで、張る。全部です。今思えば、よくやっていたなと思います。


使う道具

外壁職人の道具です。これがないと仕事になりません。

  • 丸鋸(まるのこ) — 板を切る
  • 集塵機(しゅうじんき) — 切ったときの粉じんを吸う
  • コンプレッサー — 釘打ち機を動かす空気を送る
  • 釘打ち機 — 釘を打つ
  • ホース — コンプレッサーと釘打ち機をつなぐ
  • 板を切る定規
  • スライド定規
  • 腰ぶくろ — 工具を入れて腰に付ける

定規が2種類あるのは、切り方によって使い分けるからです。まっすぐ切るときと、角度をつけて切るときでは道具が変わります。

集塵機が入っているのは、外壁材を切ると粉じんが出るからです。近隣への配慮でもありますし、自分の身体のためでもあります。


正直に言うと、体はきついです

きれいごとを書いても仕方ないので、正直に書きます。

この仕事は、体には辛いです。

板が重い

外壁材は重いです。それを、狭い場所を通りながら運びます。

現場は資材や足場でごちゃごちゃしています。その中を、大きくて重い板を持って抜けていく。

そして、一枚一枚、上にあげていきます。2階、3階と、下から順に。

傷つけないように運ぶ

重いだけなら、まだいい。気を使うのは、傷をつけられないことです。

外壁材は仕上げ材です。壁に張ってしまえば、それがそのまま家の外観になります。運んでいる途中でぶつけたり擦ったりすれば、それが残ります。

以前、雨の日の記事で「黒い板は汚れが取れない」と書きましたが、傷も同じです。あとから直すのが難しい。

だから、重い板を、狭いところを、傷つけないように運ぶ。この3つが同時にかかってきます。

階段の上り下り

地味に効いてくるのがこれです。

一日を通すと、階段の上り下りはかなりの量になります。

材料を取りに行く、道具を取りに行く、上の階に運ぶ。一回一回は大したことがなくても、積み重なるとかなり疲れます。


続けている理由

かっこいいことを書こうと思えば書けます。「職人としての誇り」とか。

でも、正直に言います。

ぶっちゃけ、ズルズルここまできてしまいました。

強い志があって始めたわけでもないし、途中で「これが天職だ」と思ったわけでもない。気がついたら16年経っていた、というのが本当のところです。

こういうことを書くと格好がつきませんが、嘘を書いても仕方ないので。


それでも、気持ちがいい瞬間はあります

じゃあ嫌々やっているのかというと、そうでもありません。

綺麗に現場が仕上がると、気持ちがいい。

それに尽きます。

一枚一枚切って、運んで、張って。数日かけて仕上がったものを、足場が外れたあとに遠くから見る。線が通っていて、納まりがきれいで、雑なところがない。

そういうとき、やってよかったなと思います。

派手なことは何もありません。ただ、目の前の一枚をちゃんと切って、ちゃんと張る。その積み重ねが形になって残る。

それが16年続いている理由なのかもしれません。


ただ、これだけは思っています

ズルズル来たとは書きましたが、仕事に対しては別です。

仕事をする以上、その先にはお客さんがいます。

そして家は、人が生きていくなかで一番大きい買い物です。何千万円という金額を、何十年もかけて払っていく。その家の外壁を、私たちが張っています。

だったら、そこはきっちりやらなければいけない。

買う人のことを思って、何年も持つ、いい家に仕上げなければいけないと思っています。

自分がここまで来た経緯は、正直たいした話ではありません。でも、目の前の家は誰かの一番大きい買い物です。そこは分けて考えています。


まとめ

  • 朝7時半に現場、6時半に出る
  • 今は2人。切り手と張り手に分かれる
  • 自営業のときは一人で全部やっていた
  • 丸鋸、集塵機、コンプレッサー、釘打ち機、定規、腰ぶくろ
  • 重い板を、狭いところを、傷つけないように運ぶ。体はきつい
  • 続けている理由は、正直「ズルズル」
  • 綺麗に仕上がると気持ちがいい
  • ただし家は人の一番大きい買い物。そこはきっちりやる

このブログで書いている話は、全部この日常から出てきたものです。

防水テープを5mm上げるのも、ジョイントを柱に合わせるのも、下屋の勾配に合わせて切るのも、毎日やっていること。

やっている本人は、いちいち意識していません。でも書いてみると、ひとつひとつに理由があるんだなと、自分でも思いました。


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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。

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