外壁は、必ず汚れます。
どんな高性能な製品でも、年数が経てば汚れる。これは避けられません。
ただ、汚れ方には傾向があります。汚れやすい場所と、そうでもない場所がある。
施工歴16年の外壁職人として、現場や完成後の家を見てきて感じる傾向を書きます。
先に断っておくと、科学的に検証した話ではありません。見てきた印象です。そのつもりで読んでください。
必ず汚れるのは「換気口の下」
まず、これははっきりしています。
換気口の下は、黒くなります。
白い外壁の家で特に分かりやすいです。壁全体はきれいなのに、換気口の下だけ黒い筋が出ている。これはよく見かけます。
換気口からは、室内の空気が出ています。その空気に含まれる油分やほこりが壁に付着して、雨で洗い流されきらずに残る。
前にセルフクリーニング機能の記事を書きましたが、その機能がある外壁でも、ここは黒くなっていました。「汚れない外壁」ではなく「雨で流れる外壁」なので、流れきらない場所は残るということだと思います。
汚れがたまりやすいのは「入角」
もうひとつ、思い当たる場所があります。
入角(いりずみ)です。
入角は、壁と壁が内側に向かって合わさる角のことです。建物が凹んでいる部分の角、と考えてください。逆に、外側に出っ張った角が出隅(ですみ)です。
この入角は、汚れがたまりやすい印象があります。
理由まで断定はできませんが、汚れが流れ落ちにくく、溜まる場所なのだと思います。角になっているぶん、雨も風も素直に抜けていかない。
建物の形が複雑になるほど入角は増えます。凹凸の多い外観にすると、汚れやすい場所もそれだけ増えるということかもしれません。
たまにある「一面だけコケ」
もうひとつ、印象に残っているのがこれです。
壁の一面だけ、コケが生えて汚れている家を、たまに見かけます。
築何年かは分からないので、年数のせいなのか条件のせいなのかは言えません。ただ、家全体が均等に汚れているのではなく、特定の一面だけが違うというのは、印象に残ります。
どの面に多いか、というところまでは、正直はっきり言えません。サンプルを取って調べたわけではないので。
逆に、きれいな面もあります
ここからはあくまで憶測です。そう断ったうえで書きます。
雨が当たって、日も当たっている面は、比較的きれいだと思います。
理由として考えられるのは2つです。
- 雨が当たる=汚れが流れる
- 日が当たる=乾く。コケや藻が育ちにくい
どちらか一方ではなく、両方そろっている面がきれいに見える。そんな印象があります。
設計で防げるか:軒を出す
「建てる前に手を打てますか」と聞かれたら、答えはひとつです。
軒が出せるなら、それに越したことはありません。
軒が深ければ、壁に雨が当たらなくなります。濡れなければ、汚れも付きにくい。
ただし、トレードオフがあります
以前の記事に書いたとおり、軒を出すと、そのぶん建物が小さくなります。
軒先は隣の敷地にはみ出せないので、軒を出した分だけ外壁を内側に下げることになる。両側で畳一枚分近く縮むこともあります。
だから「軒を出せば解決」とは言えません。敷地に余裕があるなら出した方がいい、というのが正確なところです。
土地がぎりぎりなら、そこは他の条件と天秤にかけてください。
色の影響が、一番大きい
汚れの話で、結局のところ一番効いてくるのは色だと思います。
白は、最初がきれいです
白い外壁は、建てたときが一番きれいです。
新築の白い壁は本当にきれいで、選びたくなる気持ちはよく分かります。
ただ、時が経てば経つほど、汚くなっていきます。
汚れは基本的に黒っぽいものなので、白い壁では全部が見えてしまう。雨だれも、換気口の下も、コケも。
白を選ぶなら、知っておいてください
白がダメだと言いたいわけではありません。
白を選ぶなら、汚れが目立つことを承知のうえで選んでほしいということです。
そのうえで、こういう手は打てます。
- セルフクリーニング機能付きの製品を選ぶ
- 軒が出せるなら出す
- 換気口の位置を設計段階で相談する
まとめ
| 場所・条件 | 傾向 |
|---|---|
| 換気口の下 | 必ず黒くなる |
| 入角(内側の角) | 汚れがたまりやすい |
| 一面だけコケ | たまに見かける。条件までは分からない |
| 雨も日も当たる面 | 比較的きれい(あくまで印象) |
| 軒の下 | 濡れないので汚れにくい |
| 色 | 白は最初きれい、経つほど汚れが目立つ |
外壁の汚れは、完全には防げません。
でも、傾向を知っていれば手は打てます。軒を出す、色を選ぶ、換気口の位置を考える。どれも建てる前にしかできないことです。
そして、汚れてしまったものは塗り替えできれいになります。そこは悲観しなくて大丈夫です。
あわせて読みたい
- 外壁の色選びで後悔しないコツ【職人が現場で見てきた失敗例も紹介】
- ケイミューの「光セラ」を職人が評価します【張りやすさと、汚れ落ちの実感】
- 図面では分からない外壁の落とし穴【職人が設計段階で伝えたいこと】
- ガルバリウム外壁の塗り替え時期はいつ?費用と劣化サインを職人が解説
- 家の形で、外壁はどう変わるか【凹凸より、屋根を気にしてください】
- 軒天と破風の話【外壁屋が張っている、見上げないと気づかない場所】
この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。
