現場を見に行っても、何を見ればいいか分からない。多くの施主さんがそうだと思います。
工事の中身は専門的で、素人には判断できない。実際そのとおりです。
でも、専門知識がなくても分かることがあります。しかも、それが意外と本質を突いています。
施工歴16年の外壁職人として、現場に入った職人が何を見ているかを書きます。
職人が最初に見るのは「全体が綺麗かどうか」
現場に入って、まず何を見るか。
現場全体が綺麗かどうかです。
材料の納まりでも、図面でも、職人の腕でもありません。最初に目に入るのは、その現場が整っているかどうか。これはほぼ無意識に見ています。
そして、この第一印象はかなり当たります。
具体的に、どこを見ているか
「綺麗」といっても抽象的なので、実際に見ているものを挙げます。
① 大工さんの材木の置き方
これは分かりやすいです。木材がきちんと整理して置かれているか。
長さごとに揃えてあるか、雨がかからないようにしてあるか、通り道を塞いでいないか。ここに気を使っている現場は、だいたい他のことにも気を使っています。
② 現場のまわりのゴミ
建物の中だけでなく、まわりを見てください。
切りくず、梱包材、飲み物の容器。散らばったままか、片付いているか。
③ ゴミがまとめられているか
ただ「ゴミがない」ではなく、ゴミが綺麗にまとめられているかを見ます。
工事中にゴミが出るのは当たり前です。問題は、それを放っておくか、その都度まとめておくか。
まとめてあるということは、次に来る職人が動きやすいようにしてあるということです。自分の作業だけでなく、現場全体を考えている証拠になります。
なぜ、綺麗さが大事なのか
見た目の問題だと思われるかもしれませんが、理由があります。
怪我の元になる
散らかった現場は、単純に危ないです。
足元に物があれば躓きます。通路が塞がっていれば無理な動きをします。現場の事故は、こういうところから起きます。
施主さんの気持ちの問題
現場を見に来たとき、ゴミが多くて片付いていない現場より、綺麗な現場の方が気持ちがいいはずです。
自分の家が建っている場所です。そこが荒れているのを見て、いい気分になる人はいません。
そして一番大きいのは、これです
汚いと、全てが汚くなります。
現場が散らかっていると、そこにいる人たちも物や現場を雑に扱うようになります。
一度そうなると、連鎖します。誰かが雑に置けば、次の人ももっと雑に置く。「まあ、いいか」が積み重なっていく。
そして雑に扱われるのは、そこにある材料も同じです。
現場の綺麗さと、腕は関係あるのか
一番聞きたいところだと思います。「散らかっていても、腕がよければいい家が建つのでは?」と。
正直に書きます。
経験上、汚い現場の人が腕がいいというのは、あまり聞いたことがありません。
逆に、腕があっていい職人さんは、現場が綺麗でしっかり整理整頓ができている。これはかなりの確率でそうです。
なぜなのかは、はっきりとは言えません。ただ、細かいところまで気を配れる人だからなのかな、と思っています。
外壁の仕事は、細かい配慮の積み重ねです。防水テープを5mm上げる、ジョイントを窓の上に持ってこない、勾配なりに寸法を取る——どれも「そこまでやるか」の話です。
そういう配慮ができる人が、材料を放り出したり、ゴミを散らかしたまま帰ったりするかというと、あまり想像できません。
現場の綺麗さは、その人の仕事の細かさが出ているのだと思います。
施主が見に行ったときのチェックポイント
専門知識がなくても、これなら見られます。
| 見るところ | いい現場 |
|---|---|
| 材木の置き方 | 揃えて置いてある。雨に濡れないようにしてある |
| まわりのゴミ | 散らかっていない |
| ゴミの処理 | まとめてある。放置されていない |
| 通路 | 塞がれていない。歩ける |
| 全体の印象 | 見て気持ちがいい |
難しく考えなくて大丈夫です。「見て気持ちがいいかどうか」——それがほぼ答えです。
ただし、言い切れないことも書いておきます
現場が綺麗だから100%大丈夫、汚いから必ず手抜き。そこまでは言い切れません。
ここまで書いてきたのは、私がこれまでやってきた現場と、出会ってきた人を思い出しながらの話です。統計を取ったわけでも、何かを調べたわけでもありません。
それに、綺麗かどうかの基準は人によって違います。
私から見て「散らかっているな」と思う現場でも、その人にとっては片付けているつもりかもしれない。そこは分かりません。
散らかっていても腕がある人は、もちろんいます。絶対とは言えない話です。
そのうえで、現場を見に行くときの参考にはなると思います。工程の都合で一時的に散らかることもあるので、一度で判断せず、何回か足を運んでみてください。毎回散らかっているなら、それはその現場の状態だと思います。
まとめ
- 職人が最初に見るのは現場全体が綺麗かどうか
- 具体的には材木の置き方・まわりのゴミ・ゴミがまとめられているか
- 汚い現場は人の扱いも雑になっていく
- 経験上、いい職人の現場は綺麗なことが多い
家づくりで、施主さんが工事の中身を判断するのは難しいです。でも現場が整っているかどうかは、誰でも見られます。
しかも、それはかなり本質的な情報です。
見に行ったとき、ぜひ全体を眺めてみてください。気持ちがいいと感じたら、たぶんいい現場です。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。