ニチハの窯業系サイディングを職人が正直に評価します【張る側の本音】

1. 外壁材の種類と選び方

ハウスメーカーの標準仕様で、一番よく見るのがニチハです。

窯業系サイディングの国内トップシェアメーカーなので、当然といえば当然かもしれません。

施工歴16年の外壁職人として、張る側から見たニチハを正直に書きます。

先に言っておくと、あまりいいことは書いていません。ただ最後に、ニチハにしかない強みの話も書きます。


なぜ標準でニチハが多いのか

これは私の推測です。断定はできません。

価格の安さではないかと思っています。

うちの仕入れ値でしか比較できませんし、正確な相場は分かりません。ただ、周りの業者や営業さんの話を聞いていると、ニチハ以外のメーカーは高いと聞きます。

だから、ハウスメーカーもニチハ以外の外壁はオプションになることが多いのではないかと思っています。

以前「標準仕様の外壁で十分か」という記事を書きましたが、その標準の中身がニチハであることが多い、ということです。


正直に書きます。張りたくないです

ここからは職人としての本音です。

ニチハは、正直なところ張りたくありません。

理由は3つあります。

① 本当に重い

ニチハは本当に重いです。

外壁材は一枚一枚、手で運んで上にあげていきます。その重さが一日を通して効いてくる。

以前「金属をやったあとだと窯業系はやりたくなくなる」と書きましたが、同じ窯業系の中でもニチハは重いと感じます。

② 板の反りがある

ケイミューに比べると、板の反りがあります。

反っている板は、そのままでは素直に納まりません。押さえながら合わせたり、調整したりする手間が増えます。

③ 矩(カネ)が悪い

ここが一番大きいかもしれません。専門的な話になりますが、書いておきます。

板が、正確な直角になっていないことがあります。

現場では「カネが出ていない」と言います。カネ(矩)というのは直角のことです。

具体的には——板の上と下で、1mmか2mmの差があるんです。

1mmが、ズレになります

「1mmくらい」と思うかもしれません。でも外壁は、板を積み重ねて張っていくものです。

上下で1mm違う板を重ねていけば、そのズレが溜まっていきます。張り進めるほど、どんどん合わなくなる。

だから途中で調整が必要になる。これが張りづらさの正体です。

ケイミューの記事で「板が真っ直ぐだから張りやすい」と書きましたが、その裏返しがこれです。


デザインについて(完全に個人の意見です)

ここは本当に好みの話なので、そのつもりで読んでください。

ケイミューに比べると、デザインは少し豊富かもしれません。

ニチハはインクジェット塗装の技術があって、柄の種類は多い。それは事実だと思います。

そのうえで、個人的な意見を言えば——デザインが古臭いと思ってしまいます。

ケイミューの方がおしゃれだな、と感じます。

これは完全に私の好みです。ニチハのデザインが好きな方もたくさんいるでしょうし、それを否定する気はまったくありません。

カタログを見て、自分の目で選んでください。職人の好みで決める話ではないので。

そして、すでにニチハで建てた方が気にすることではありません。好みの話ですし、街を歩けばニチハの家はいくらでもあります。私の目が古いだけかもしれません。


セルフクリーニングは、変わらないと思います

ケイミューの光セラについて「5年以上経ってもきれい」と書きました。

ではニチハはどうか。

ニチハにもマイクロガードがあるので、そこはケイミューと変わらないのではないかと思います。

どちらも汚れを雨で流す仕組みを持っています。方式に違いはありますが、結果として大きな差があるとは感じていません。

「セルフクリーニングで選ぶならケイミュー」ということではない、と思っています。


ただし、フュージェは強いです

ここまで厳しく書いてきましたが、ニチハにしかない強みがあります。

フュージェ(Fu-ge)という製品です。

六尺板で、シーリングレス

フュージェの特徴は2つです。

  • 六尺(約1,820mm)の板
  • 四方合いじゃくりによるシーリングレス

「四方合いじゃくり」というのは、板の四方が噛み合う構造のことです。これによって、左右の接合部にシーリング目地が入りません。

これは、大きな意味があります

以前「割り付け」の記事で、こう書きました。

ジョイント部分にはコーキングが入る。そしてコーキングは時間が経つと汚れる。だから継ぎ目の線が、10年後に浮き出て見えてくる。

フュージェは、この問題を構造で解決しています。

シーリングが入らなければ——

  • 継ぎ目が目立ちません
  • シーリングの黒ずみ汚れが出ません
  • 将来の打ち替えが減ります

見た目の話だけでなく、メンテナンスコストの話でもあります。

プレミアムなら30年保証

さらに上位の「フュージェ プレミアム」には、超高耐候塗料のプラチナコート30が使われています。

変色・褪色30年保証で、2018年に業界初として発売された製品です。

ただし、保証には条件があるのが普通です。「保証書には何が何年と書かれますか」と確認してください。


まとめ:職人の好みと、施主の利益は別です

最後に、大事なことを書きます。

ここまで「重い」「反りがある」「カネが悪い」「デザインが古臭い」と、かなり厳しく書きました。

でも——これは職人の都合の話です。

項目評価
重さ重い(職人の話)
板の反りある(職人の話)
カネ(直角)上下で1〜2mmの差が出ることがある(職人の話)
デザイン豊富。好みは分かれる
セルフクリーニングケイミューと変わらないと思う
フュージェシーリングレス。継ぎ目が目立たず、打ち替えも減る
価格おそらく安い。だから標準に採用されやすい

張りにくいからといって、悪い外壁材ではありません。

ちゃんと張れば、ちゃんと仕上がります。手間がかかるのはこちらの問題であって、施主さんが気にすることではない。

そしてフュージェは、施主にとって本当にいい製品だと思います。コーキングが減るというのは、10年後、20年後に効いてくる話です。

職人が好きな材料と、施主にとっていい材料は、必ずしも一致しません。そこは分けて考えてください。


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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。

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