外壁のオプションで選べるもの一覧【職人がひとつずつ正直に評価します】

5. 職人コラム

打ち合わせでオプション表を渡されて、途方に暮れたことはありませんか。

標準の外壁は決まっている。でもオプションにすると何が選べて、それぞれ何が違うのか。表を眺めても、正直よく分かりません。

施工歴16年の外壁職人として、オプションで選べる外壁材をひとつずつ、実際に張ってきた立場から評価します。


標準とオプション、何が違うのか

多くのハウスメーカーで、標準仕様は窯業系サイディングです。厚みは14mm前後のことが多い。

そこからグレードアップする形で、オプションが用意されています。主なものはこの6つです。

  • 21mmの窯業系サイディング(一番厚いもの)
  • 金属サイディング(ガルバリウム)
  • ラップ調(ケイミューのLAP-WALLなど)
  • チャネル(木を張る)
  • ALC
  • モルタル(ジョリパットなどの塗り壁)

順番に見ていきます。


① 21mmの窯業系サイディング

窯業系サイディングの中で、一番厚いグレードです。

JIS規格では14mm・15mm・16mm・18mm・21mm・24mmが定められていて、住宅で使われる中では21mmが最上位に近い位置づけになります。

何が変わるか

厚みが増すことで遮音性・断熱性・耐衝撃性が上がります。ただ、施主さんが一番実感するのは見た目です。

正直に言うと、かなり立派に見えます。厚みがあるぶん彫りが深く入るので、陰影が濃く出て重厚感がまるで違う。14mmや16mmで同じ柄を選んでも、ここまでの表情は出ません。

高い材料なだけのことはある、というのが張っている側の実感です。

留め方は金具工法なので、表面に釘の頭も出ません。

向いている人

  • 柄の立体感・高級感を重視する人
  • 標準の柄が「のっぺりして見える」と感じた人

「同じ柄でも厚みで見え方が変わる」——ここは実物を見比べてほしいところです。カタログの写真では差が分かりません。


② 金属サイディング(ガルバリウム)

窯業系から金属系に変えるオプションです。

何が変わるか

まず目地が減ります。窯業系は板の継ぎ目をコーキングで埋めますが、金属系は板同士が噛み合う構造なので、コーキングが必要なのはサッシまわりなど限られた場所だけです。

将来のメンテナンスで、コーキング打ち替えの範囲が大きく変わります。

そして軽い。窯業系のおよそ4分の1の重さなので、建物への負担が減ります。見た目はシャープでシンプルモダンになります。

注意点

金属なので傷や凹みが分かりやすいです。飛び石や物がぶつかりやすい面——駐車場側、人が通る動線側——は考えておいた方がいいです。


③ ラップ調(LAP-WALL など)

最近人気が出てきているのがこれです。

板を少しずつ重ねながら張っていく工法で、屋根材のような納まりになります。ケイミューのLAP-WALLが代表的で、屋根にも壁にも使える製品です。

何が変わるか

重なりによって横方向の陰影がはっきり出ます。平らなサイディングとは印象がまったく違って、洋風・北欧風の外観によく合います。

シリーズには木目調(Wood)、レンガ調(Brick)、フラット(Flat)があり、質感を選べます。

どう使われているか

私が見てきた限りでは、全面に張る家が多いです。

一部だけアクセントに使うこともできますが、ラップ調を選ぶ方は「外国っぽい雰囲気にしたい」という希望がはっきりしています。だったら全面で振り切った方が、狙った雰囲気になります。


④ チャネル(木を張る)

先に正直に書いておきます。チャネルは、私自身は張ったことがありません。

ここだけは現場の実感ではなく、メーカーや木材を扱う専門業者の情報をもとにまとめます。他の項目と同じ重みでは読まないでください。

そのうえで——木の板を張る外壁です。「チャネルサイディング」と呼ばれ、ウエスタンレッドシダーなどが使われます。

何が変わるか

本物の木の質感は、他の素材では絶対に出せません。ここは断言できます。

チャネルは板と板の間に溝(目透し)が出る形状で、この溝がつくる陰影が外壁に厚みを感じさせます。

レッドシダーは木の中では耐久性・防腐性が高く、寸法安定性にも優れているので、反りや割れが起きにくい樹種です。

メンテナンスには2つの考え方があります

木の外壁は、塗るか塗らないかで方針が分かれます。ここは選ぶ前に知っておいてください。

① 塗装して色を保つ

数年ごとに保護塗装をして、張ったときの色に近い状態を維持する方法です。手間はかかりますが、色をコントロールできます。

② 無塗装で、経年変化を受け入れる

塗らずにそのまま使う方法です。レッドシダーは数か月から1年ほどで、赤みが抜けてシルバーグレーに変わっていきます。海外の住宅ではこちらが人気の仕上げです。

「塗らないと腐るのでは」と思うかもしれませんが、レッドシダーは心材に天然の耐朽成分を含んでいるので、無塗装でも使える樹種です。無塗装のまま35年もっている事例もあります。色褪せは進みますが、これは腐食ではなく紫外線による表面の変化です。

どちらを選ぶか

「変わっていくのが味」と思えるなら無塗装。「張ったときの色を保ちたい」なら塗装。この分かれ目です。

大事なのは、選ぶ前にどちらか決めておくこと。無塗装で数年経ってから「やっぱり元の色に戻したい」となっても、簡単には戻りません。

なお「玄関まわりだけ木」という組み合わせも人気です。範囲を限定しながら、木の質感を取り入れられます。


⑤ ALC

軽量気泡コンクリートのパネルです。

何が変わるか

断熱性と遮音性が上がります。厚みが37mm・50mmとあり、サイディング(14〜21mm)より圧倒的に厚い。「静かな家にしたい」という希望には、これが一番効きます。

数字より分かりやすい話をひとつ。ALCを張ると、中で作業している大工さんから「涼しい」という言葉がよく出ます。カタログの数値ではなく、現場で人が体感として口にする。それくらい効いているということです。

不燃材料なので耐火性能も高く、防火地域・準防火地域に強い素材です。

注意点

ALCは水を吸う素材です。だから塗装で防水しています。

つまり、塗装が切れたら防水も切れます。水を吸った状態で凍れば凍害(凍って割れる)が起きます。

ALCを選ぶなら、塗り替えの計画までセットで考えてください。「あとで塗り替えればいい」ではなく、「いつ塗り替えるか」を先に決めておく感覚です。


⑥ モルタル(塗り壁)

「昔の工法」というイメージがあるかもしれませんが、いまも人気があります。

現在の主流はジョリパットという塗材です。アイカ工業の製品で、45年以上使われています。現場で材料を練って塗る「湿式工法」なので、工場で作った板を張るサイディングとは根本的に違います。

何が変わるか

継ぎ目がありません。板の割り付けがないので、面が一枚でつながります。この一体感は塗り壁にしか出せません。

左官仕上げなのでパターン(表情)の自由度も高い。同じジョリパットでも、コテの使い方で仕上がりが変わります。

下地には3つのやり方があります

ここは施主さんがまず知らない部分だと思うので、書いておきます。塗り壁は「何の上に塗るか」で工程が変わります。

  1. 捨てでサイディングを張ってから塗る — 無塗装のサイディングを下地として張り、その上から塗る
  2. 胴縁にラスを張って塗る — 昔ながらのラスモルタル。ラス(金網)で下地をつくる
  3. ALCの上から塗る — ALCパネルを下地にして塗る

どれになるかは、メーカーや現場の条件で変わります。見積もりを見るときは、下地が何かも確認してみてください。同じ「モルタル」でも中身が違います。

注意点

クラック(ひび割れ)は出ます。細いヘアークラックなら緊急性は低いですが、幅0.3mm以上になると雨水が入るので補修が必要です。

塗り替えの目安は、おおむね9〜15年とされています。

そして現場での手作業になるので、職人の腕が仕上がりを大きく左右します。


コーキングのグレードも聞いてみてください

外壁材の話ばかりしましたが、コーキング(シーリング)のグレードも確認する価値があります。

サイディングなら、ケイミューの「スーパーKMEWシール」のような高耐久タイプがあります。40年相当の促進耐候性試験でひび割れなかった、という試験結果が出ている製品です。

ただし、数字は割り引いて聞いてください

ここは正直に書きます。

「30年もちます」「40年相当」——この数字ほどは、実際もちません。

こういう数字は営業さんにとって扱いやすい謳い文句です。カタログに書いてあるので、言う側も嘘は言っていない。でも現場で見てきた実感として、高耐久タイプでも10〜15年もてば十分だと思っています。

日当たり、雨のかかり方、動きの大きい場所かどうか。同じ家の中でも、面によって差が出ます。試験室の条件と、実際に建っている家の条件は違うんです。

とはいえ、標準品より長持ちするのは事実です。「30年もつから安心」ではなく、「標準よりは長い」くらいに受け取っておくのがちょうどいいと思います。

コーキングは劣化する部材で、打ち替えには足場が必要です。金額としては大きくないのに、将来のコストに効いてきます。「標準のコーキングは何を使っていますか」と聞いてみてください。


職人としての優先順位

正直な順番を書きます。

明確な希望があるなら、素材変更は迷わなくていいです。「ガルバの見た目にしたい」「木を使いたい」——そういう希望は、あとから絶対に叶えられません。

問題は「なんとなく高い方がいいだろう」で選ぶ場合です。それなら、優先すべきはこうなります。

  1. 厚みのグレードアップ(14mm → 16mm以上、できれば21mm)
  2. コーキングのグレード
  3. 塗膜のグレード

厚みは仕上がりに直結して、あとから変えられません。コーキングは将来の足場代に効きます。塗膜は塗り替えで挽回できるので、3番目。


営業さんへの聞き方

オプションを判断するときの質問は、これがおすすめです。

「これをつけないと、あとから変えられませんか?」

この一言で優先度がはっきりします。

  • 「あとから変えられません」→ 検討する価値あり
  • 「あとからでも対応できます」→ 今は見送っていい

もうひとつ、「メンテナンスの手間は増えますか?」も聞いてください。木のように、選んだ時点で手をかけ続けることが決まる素材もあります。


まとめ

オプション強み注意点
21mmサイディング重厚感・深い彫り・遮音・断熱材料費は高い
金属サイディング目地が少ない・軽い傷・凹みが目立つ
ラップ調重なりの陰影・外国風の雰囲気好みがはっきり分かれる
チャネル(木)本物の木の質感塗るか、無塗装で色の変化を受け入れるか
ALC断熱・遮音・耐火塗装が防水そのもの
モルタル(ジョリパット等)継ぎ目のない一体感・パターン自由クラック・職人の腕次第

全部を上げる必要はありません。希望があるものだけ上げる。これが一番いい選び方です。

「なんとなく」で選ぶくらいなら、標準のままで十分です。浮いた予算は、断熱や設備など、外壁より生活に効く部分に回した方がいいと思います。

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選べるオプションは、ハウスメーカーによって中身がまったく違います。「この外壁にしたい」という希望があるなら、扱っているメーカーを先に調べておくと話が早いです。

→ 持ち家計画


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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。

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