外壁の訪問営業、職人が聞くと成立していない5つの決まり文句

4. 業者選び・トラブル対策

「近所で工事をしていまして、ご挨拶に伺いました」

「お宅の外壁、ちょっと気になるところがあるんですが……」

こういう訪問を受けたことがある方は多いと思います。同じ業界にいる人間として言いにくい話ではありますが、訪問営業がきっかけで高い契約をしてしまった家を、私は現場で何軒も見てきました。

先に断っておくと、訪問営業をしている会社が全部悪いわけではありません。真面目にやっている会社もあります。ただ確率の問題として、リスクが高いのは事実です。

この記事では、よく使われる決まり文句が「職人から見てどう聞こえるか」を書きます。実際に施工している側だからこそ、成立しない話が分かります。


実際に相談は増えています

感覚の話ではありません。国民生活センターによると、屋根工事の点検商法の相談件数は2022年度に過去5年で最多となり、2018年度の約3倍に増えています。

そして契約した人の8割超が60歳以上です。実家の親御さんが心配な方は、この記事を読んだあとに一度電話してあげてください。


職人が聞くと成立していない、5つの決まり文句

①「近所で工事しているので、足場が余っています」

これは物理的に無理です。

足場は家の形に合わせて、その家のために組みます。隣の家に使い回すことはできません。サイズも高さも違いますし、そもそも組んである足場を解体して運んで組み直すなら、最初から新しく組むのと手間は変わりません。

「足場が余っている」という状況は、この仕事では発生しません。この一言が出たら、それだけで判断材料になります。

②「今日契約していただければ、○○万円お引きします」

その場で数十万円下がるということは、最初からその金額が乗っていたということです。

まともな見積もりは、足場・塗料・人工(にんく)を積み上げて作ります。積み上げた数字が、玄関先の話し合いで即座に数十万円動くことはありません。動くとしたら、下げたぶんをどこかで削るか、別の項目に付け替えるかです。

金額が即決を条件に動く時点で、その見積もりは根拠のない数字です。

③「屋根が浮いています。写真を撮ってきました」

いわゆる点検商法です。ここで気をつけてほしいのは、見せられた写真が本当にあなたの家かどうか、施主さんには確認しようがないという点です。

自分の家の屋根を、自分の目で見たことがある人はほとんどいません。だから写真を見せられると信じてしまいます。

もし本当に心配なら、その業者ではなく別の会社に見てもらってください。2社が同じことを言うなら本物です。

④「屋根に上って点検しましょうか」

無料点検を装って屋根に上がり、その場でわざと壊すという悪質な例が報告されています。

屋根の上で何をしているかは下からは見えません。頼んでいない業者を、屋根に上げないでください。

⑤「火災保険を使えば、自己負担なしで直せます」

火災保険が使えるケースは実際にあります。台風や雪など、自然災害で壊れた場合です。

問題は、経年劣化を災害のせいにして申請させる業者がいることです。これは保険金の不正請求で、加担すると施主さん自身が責任を問われます。「保険が下りなければ工事はしません」と言われた場合は、特に注意してください。


その場での断り方

難しく考える必要はありません。

玄関を開けない、が一番強い

インターホン越しに「うちは結構です」で切って構いません。失礼ではないかと気にする方がいますが、向こうは仕事で来ています。気を遣う相手ではありません。

玄関を開けて立ち話が始まると、断りにくくなります。それが狙いでもあります。

話を聞いてしまった場合は「その場で決めない」

魔法の一言があります。

「他社にも見てもらってから決めます」

これで引き下がる会社はまともです。ここで食い下がる、値段を下げ始める、今日じゃないと駄目だと言う会社は、その反応自体が答えです。

まともな業者は、相見積もりを取られても困りません。比べられて困るのは、比べられると不利な会社だけです。

「訪問販売お断り」のステッカーも効きます

玄関やインターホンに貼っておくだけで、来訪そのものが減ります。市区町村の窓口や消費生活センターで配っていることもあります。


もう契約してしまった場合

ここは知っているかどうかで結果が変わります。落ち着いて読んでください。

訪問販売の契約は、8日以内なら解約できます

特定商取引法という法律で、訪問販売の契約にはクーリング・オフが認められています。

  • 期間は契約書面を受け取った日から数えて8日以内
  • 理由はいりません。違約金も不要です
  • 工事がすでに始まっていても解約できます

メールでも通知できるようになりました

以前は書面(はがきなど)が必要でしたが、2022年6月の法改正で、メールなどの電磁的記録でも通知できるようになりました。FAXや、業者のサイトにある専用フォームでも構いません。

ただし送った記録は必ず残してください。はがきで送る場合は、簡易書留や特定記録など、発送した証拠が残る方法が安心です。

8日を過ぎていても、諦めないでください

大事な点です。業者がクーリング・オフを妨害するために嘘の説明をしたり、脅したりした場合、8日のカウントはそもそも始まりません。

「もう工事に入ったから解約できない」「違約金が発生する」と言われて引き下がってしまった、というケースがこれに当たる可能性があります。

迷ったら188番

消費者ホットライン「188」に電話すると、最寄りの消費生活センターにつないでもらえます。「いやや」で覚えてください。

相談は無料で、本人でなくても構いません。家族が代わりに相談できます。親御さんが契約してしまった、という場合はここに電話してください。


職人としてのまとめ

訪問営業のすべてが悪質なわけではありません。ただ、この記事に書いた決まり文句が出てきたら、それは技術ではなく話術で契約を取ろうとしているということです。

外壁は何百万円の買い物です。家電を買うのとはわけが違います。それを玄関先の立ち話で、その日のうちに決めさせようとすること自体が不自然だと思ってください。

本当に腕のいい職人は、施主さんに考える時間を与えます。急かす必要がないからです。

もし外壁が本当に傷んでいるなら、それはそれで対処が必要です。ただし相手は自分で選んでください。向こうから来た1社ではなく、こちらから選んだ数社で比べる。それだけで、この記事に書いたトラブルはほとんど防げます。


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自分から業者を探すなら

とはいえ、自分で優良業者を数社見つけるのは手間がかかります。下は無料で複数社に見てもらえるサービスで、加盟店の口コミを公式サイト上で確認できます。訪問営業で言われた金額が妥当かどうかを確かめるためだけに使っても構いません。比べる相手が1社できるだけで、判断はぐっと楽になります。

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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。

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