外壁の工事を考えると、必ず目に入るのが「一括見積もりサイト」です。
無料で複数の業者から見積もりが取れる、というやつです。私もこのブログで何度か「相見積もりは取ってください」と書いてきました。
ただ、あれがどういう仕組みでタダになっているのかを知っている人は少ないと思います。施工歴16年、業者側にいる人間として、裏側も含めて正直に書きます。
先に言っておくと、私は使う価値はあると思っています。ただし手放しでおすすめはしません。理由も含めて説明します。
まず、あのサイトはなぜ無料なのか
利用者はお金を払いません。じゃあ誰が払っているかというと、紹介された業者です。
業者はサイト運営会社に手数料を払います。金額は、お客さんを1件紹介してもらった時点で5,000〜10,000円程度、さらに契約が決まると成約額の5〜20%というのが相場です。
ここで大事なのは、紹介の時点でかかる手数料は、契約が取れなくても業者が払うという点です。
この構造を頭に入れておくと、これから書くことが全部つながります。
仕組みから見える、正直なデメリット
1. 手数料のぶん、見積もりが高くなることがある
業者からすれば、手数料は経費です。経費は最終的に工事代金に乗ります。同じ業者に直接頼むより、サイト経由の方が高くなる可能性はあります。
もちろん、そもそもその業者を自分で見つけられなければ比較のしようもないので、一概に損とは言えません。ただ「無料だからタダで得している」という理解は正確ではありません。
2. 安値競争になりやすい
これが職人として一番気になるところです。
紹介された業者は「他にも3社が見積もりを出している」と分かっています。手数料も払っています。だから金額を下げにいく力が働きます。
では何を削るか。塗料のグレードを落とすか、塗る回数を減らすか、下地処理を省くか、職人の手間を減らすかです。外から見て分からないところから削られます。
だから、安さだけで選ぶと一括見積もりサイトは危険です。ここは後で対策を書きます。
3. 営業の連絡が複数社から来る
当たり前ですが、4社に見積もりを頼めば4社から連絡が来ます。「思ったより電話が多い」という声はよく見かけます。
これは仕組み上どうしようもない部分ですが、対策はあります。これも後で書きます。
それでも私が「使う価値はある」と言う理由
ここまで悪いことを並べましたが、それでも勧めるのには理由があります。
1社だけの見積もりは、判断のしようがないから
デメリットを全部踏まえても、1社の見積もりだけで契約するよりはるかにマシです。
見積書を1枚だけ見ても、その金額が高いのか安いのかは誰にも分かりません。プロでも分かりません。判断できるのは、比べる相手がいるときだけです。
訪問営業で来た1社だけと話して、その場で契約してしまう。これが一番損をするパターンです。実際、そういう家を現場で何軒も見ています。
自分で優良業者を探すのは、想像以上に難しい
ネットで「地域名+外壁塗装」と調べても、上に出てくるのは広告費をかけている会社です。腕の良し悪しとは関係ありません。
その点、大手のサイトは加盟店を4,000社以上抱えていて、地方でも候補が出てきます。「話を聞く相手を数社そろえる」道具として使うぶんには、かなり優秀です。
使う前に決めておくべき3つのこと
ここが一番大事です。何も決めずに申し込むと、比較できない見積書が4枚届いて終わります。
- 塗料のグレードを決める(シリコンかフッ素か、など)
- 施工面積の条件を揃える(付帯部を含むかどうかも)
- 予算の上限を決めておく
特に1と2です。塗料と面積の条件が揃っていない見積書は、そもそも比較になりません。条件が違うだけで10万円以上変わります。
「シリコン塗料で、外壁と軒天・雨樋まで含めて、この面積で」と全社に同じ条件を伝えてください。そうして初めて、金額の差が業者の差として見えてきます。
相場の目安も持っておく
30坪の一般的な住宅で、外壁塗装は90〜110万円あたりが相場と言われています。塗料のグレードや傷み具合で上下しますが、目安として頭に入れておいてください。
相場より極端に安い見積もりが出てきたら、喜ぶ前に中身を確認してください。50万円も安いなら、必ずどこかを削っています。塗る回数か、塗料か、下地処理です。
営業の連絡を減らすコツと、断り方
連絡は3〜4社までに絞る
多ければ多いほどいい、というものではありません。3社で十分です。金額の傾向は3枚あれば見えますし、それ以上は対応しきれません。
連絡手段と時間帯を最初に指定する
申し込みフォームの備考欄に「連絡はメール希望」「電話は平日18時以降」と書いておくだけで、だいぶ変わります。まともな会社はちゃんと守ります。
断るのが苦手なら「お断り代行」を使う
意外と知られていませんが、大手のサイトにはお断り代行のサービスがあります。断りづらい業者に、サイトのアドバイザーが代わりに断りを入れてくれる仕組みです。
「断るのが気まずいから、なんとなく契約してしまった」というのが一番もったいないので、こういう仕組みは遠慮なく使ってください。
それでもしつこい場合
サイト側にアカウント削除を依頼すれば、新しい紹介は止まります。度を越してしつこい業者は、消費生活センターに相談する手もあります。気を遣う必要はまったくありません。
職人としてのまとめ
一括見積もりサイトは、「業者を探す道具」としては優秀、「安い業者を見つける道具」としては危険、というのが私の結論です。
手数料の仕組みがある以上、極端に安い金額が出てきたら疑ってください。逆に、複数社の見積書を並べて相場感をつかみ、話を聞く相手を効率よく見つける、という使い方なら十分に価値があります。
そして最後にもう一つ。見積もりを取ったからといって、契約する義務はありません。3社から話を聞いて、全部やめて、地元の工務店に直接頼んでも構いません。それでも「相場を知った状態で判断できる」というだけで、取った意味は十分あります。
外壁は何百万円の買い物です。急かしてくる相手とは、それだけで付き合わない方がいいです。
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実際にどこを使うか
大手はどこも加盟店数が多く、お断り代行もついています。特徴が違うので、合う方を選んでください。両方に申し込む必要はありません。1つで3社ほど紹介してもらえば十分です。
加盟店の口コミを見てから選びたいなら
公式サイト上で加盟店の評判・口コミを確認できるのが特徴です。紹介された会社を自分の目でも確かめたい方はこちらが向いています。
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お祝い金がある方がいいなら
成約金額に応じて商品券がもらえる仕組みがあります。紹介される業者の数や質は同水準なので、この特典で選ぶのもありです。
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繰り返しますが、申し込んだからといって契約する義務はありません。この記事の「使う前に決めておく3つのこと」を先に決めてから申し込んでください。それだけで届く見積書の質が変わります。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。
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