「ニチハって窯業系のイメージが強いけど、金属外壁はどうなの?」
これ、正直な疑問だと思います。ニチハといえば窯業系サイディングの最大手。「金属外壁もやっているの?」と思う方もいるかもしれません。
施工歴16年の職人として、ニチハの金属系サイディング「センターサイディング」シリーズを正直に評価します。アイジー工業やケイミューとどう違うのか、どんな人に向いているのかを、現場目線でまとめます。
ニチハってどんな会社?
ニチハは1956年創業、愛知県に本社を置く建材メーカーです。
窯業系サイディングでは国内トップシェア。ケイミューと合わせて窯業系市場の約9割を占める巨大メーカーです。
「窯業系の会社が金属外壁を作っているの?」と思うかもしれませんが、ニチハが金属系に力を入れているのは理由があります。窯業系で培ったインクジェット塗装技術です。この技術を金属素材に応用することで、他社では出せない「木目・石・レンガのような質感」を金属外壁で実現しています。
金属の耐久性とデザインの多様さを両立する——それがニチハの金属外壁の強みです。
主な製品「センターサイディング」シリーズ
ニチハの金属系サイディングは「センターサイディング」シリーズです。
センターサイディング ネオスパン プレミアム:デザインと機能の主力モデル
シリーズの中心となる製品です。水平ラインが走るシャープなデザインで、カラーバリエーションが豊富。黒・グレー・白の定番色に加え、ネイビー・ブラウン・ワインレッドなど、他社にない色展開があります。
材料費の目安は8,900〜10,000円/㎡。
マイクロガード搭載モデル:汚れにくさが売り
ニチハ独自の「マイクロガード」機能を搭載したモデルがあります。外壁表面を親水性にすることで、雨水が汚れごと流れ落ちるセルフクリーニング効果があります。
黒系の外壁は白っぽい汚れ(雨垂れ跡)が目立ちやすいのですが、マイクロガードがあるとその問題をかなり軽減できます。「黒にしたいが汚れが心配」という方には特に有効な機能です。
インクジェット塗装モデル:金属なのに木目・石調
ニチハの最大の特徴がこれです。インクジェット技術でリアルな木目・石・レンガの質感を金属外壁で表現できます。
「金属外壁にしたいが、無機質な見た目は嫌。温かみが欲しい」という方に向いています。遠目には本物の木材のように見えるクオリティです。
価格帯
ニチハのセンターサイディングは、3社の中で最も高い価格帯です。
材料費の目安:8,900〜10,000円/㎡(施工費別)
アイジー工業の1.5〜2倍程度の価格帯になります。「なぜこんなに高いの?」と思う方もいると思いますが、理由はいくつかあります。
まず、インクジェット塗装の製造コストが高い。木目や石調のリアルな質感を出すための印刷・塗装工程は、シンプルな金属塗装より手間とコストがかかります。
次に、マイクロガードなどの機能付加のコスト。セルフクリーニング機能はただの塗料ではなく、専用の表面処理が必要です。
デザイン性・機能性に価値を感じる方には納得できる価格ですが、「とにかくコスパを重視」という方にはアイジー工業の方が向いています。
塗装グレードと保証
ニチハの金属系サイディングの保証は以下の通りです:
- 赤さび・穴あき保証:10年
- 色あせ保証:製品・グレードによる
アイジー工業の赤さび・穴あき保証が15〜20年なのと比べると、保証年数はやや短め。ただし、マイクロガード搭載モデルは汚れにくさという実用面での強みがあるため、単純な保証年数だけで比べるのは難しいところです。
職人として現場で感じること
正直に言います。
デザインの選択肢の豊富さは3社の中でダントツです。
「この色にしたい」「この質感にしたい」というこだわりがある方には、ニチハのラインナップは圧倒的に魅力的です。カタログを見ると「こんな金属外壁があるのか」と驚くような製品があります。
一方、施工のしやすさはアイジー工業より一歩劣る印象があります。製品によって部材の対応が複雑なことがあり、慣れていない職人が施工すると仕上がりに差が出ることがあります。
「ニチハのセンターサイディングを得意としている業者ですか?」と施工業者に必ず確認してほしいのはそのためです。どんなにいい製品でも、施工精度が低いと本来の性能もデザインも活きません。
もう一点。価格が高いだけに「費用対効果」をしっかり考えてほしいです。マイクロガード機能やインクジェットデザインに魅力を感じるなら価格に見合う価値がある。でも「なんとなく大手だから」という理由だけでニチハを選ぶと、アイジー工業で十分だったということになりかねません。
ニチハが向いている人・向いていない人
向いている人
- カラーバリエーションを豊富に比較したい方
- 木目調・石調など、質感のあるデザインの金属外壁にしたい方
- 黒系の外壁にしたいが、汚れが気になる方(マイクロガード)
- 「金属の無骨さ」を感じさせない、温かみのある外観にしたい方
- 予算に余裕があり、デザインにこだわりたい方
向いていない人
- コストパフォーマンスを最優先したい方(アイジー工業が向いている)
- シンプルな金属外壁で十分な方
- 耐食性を最優先にしたい方(ケイミューのエスジーエルが向いている)
- 施工業者がニチハ製品に不慣れな場合
まとめ
ニチハのセンターサイディングは「デザインで選ぶ人のための金属外壁」です。
価格は高い。でも、それに見合うデザインの多様さと機能性があります。「金属外壁にしたいが、ありきたりな見た目は嫌だ」「黒にしたいが汚れが心配」——そういうこだわりと悩みを持つ方には、ニチハは有力な選択肢になります。
逆に、シンプルに仕上げたい・コストを抑えたい方には、アイジー工業の方が向いています。選ぶ基準はシンプル——自分の「こだわり」がデザインや機能性にあるかどうかです。
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この記事を書いた人:新築外壁施工歴16年の職人。ALCとサイディングを専門に、年間180棟以上の現場で施工管理を担当。
